頑張ったら負け

妄想というか願望

ホワイトデー

今日はホワイトデー。
とはいえ、不慮の事故で入院中の私には関係のない話だ。

しかし、

「ホワイトデーのプレゼントをもらいに来ました」
誰かが病室に入ってきた。
後輩の高橋さんだ。

彼女は惚れやすい性格で、惚れた相手に貢がせて破綻させることをライフワークとしている。
彼女に目をつけられたばかりに事故破綻させられた同僚は数知れない。

私は抵抗した。
「君、事前の連絡もなしに訪ねてくるなんて失礼じゃないか。あと私は重病人なので面会謝絶中だ」

高橋さんは私の話を無視して言った。
「まさか何も用意してないんですか。ありえないですよね?」

ヤバい。何か取られる。
しかし幸いなことに私は金目の物を一切持っていない。
家族もいないし、毎月の給料はユニセフに寄付している。
わずかな貯金は先月の慰謝料と入院費で消えたし失うものなど何もないのだ。

「奪えるものなら奪ってみろ」

翌日

病院で全身干からびた男性の遺体が発見された。