「さて、今日のターゲットはと」
私は人混みの中から獲物を探していた。
私の趣味は人に肩をぶつけること。
ぶつけたあと適当に難癖をつけて人を不快にさせることを生きがいとしている。
もちろん危険は隣り合わせだ。
私が自分の存在に誇りを感じていると、前から気の弱そうな男性が来るのが見えた。
今日はコイツにするかー
私は男性にタックルを決めた。
「うぐ!」
だが相手の体が予想以上に頑丈だったので私は逆にはじき返され尻もちをついてしまった。
なんという屈辱。許さん。
しかも男性は手を差し出してきた。
「大丈夫ですか?」
大丈夫じゃねーよ。
私は自尊心ゲージが大幅に減っていくのを感じた。
コイツは始末するしかない。
私はナイフを取り出したが、焦って落としてしまった。
落ちたナイフは自分の足に刺さった。
「ぎゃあああああー」
私は悶えながらも2本目のナイフを握った。
コイツは絶対に泣かす。武器はまだまだある。
しかし気弱そうな男性は落ち着き払って言った。
「署まで同行願います」
この男に他人を思いやる心はないようだ。
私は連れていかれた。
ここではないどこかに。
いや、警察署に。